今月のニュース
平成29年2月号
職員だより
文部科学省 初等中等教育局 健康教育・食育課
「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」成果発表会について
去る平成29年1月27日(金)、文部科学省主催による『「平成28年度防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」全国成果発表会』が、国立オリンピック記念青少年総合センターを会場に開催され、全国の学校安全関係者約150名が集まりました。
平成24年度に「実践的防災教育総合支援事業」としてスタートした本事業は、平成27年度より、防災に加えて、防犯を含む生活安全や交通安全も含めて「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」となり、今年度は44の道府県・政令都市で実施しています。本成果発表会は、各教育委員会・モデル地域における実践発表等を行い、本事業の成果の普及を図ることを目的に、毎年開催しています。
本年度は3つの講演があり、まず、「大規模災害時の学校における避難所運営の協力に関する留意事項について」各教育委員会宛通知に基づき、文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課より具体的な説明を行いました。
次に、熊本市教育委員会より「熊本地震の対応について」、発災から現在までの現地における取組や、現地の被災状況及び避難所運営に関する課題等について、講演が行われました。本講演においては、特に避難所運営について、実際に運営に当たった際に、多くの課題に直面したことが語られ、逆に、地域の自治協議会等の自主的な協力が得られた避難所においては、比較的スムーズに避難所運営を行うことができたことが語られました。
最後に、兵庫県立芦屋高等学校所属のEARTH員より、「震災・学校支援チーム(EARTH)の活動について」講演が行われました。熊本地震の際は、発災後すぐにEARTH員が現地入りし、8月の第6次派遣にいたるまで、計76名のEARTH員が68校に派遣され、阪神大震災の教訓を生かし、兵庫県として、継続的な支援活動を行いました。
※ EARTH とは、「Emergency And Rescue Team by school staff in Hyogo」の略称であり、兵庫県の教職員で構成され、防災・減災に関する専門的な知識や実践的な対応力を備えた、震災・学校支援チームである。平時には、各地の地域防災体制への協力を行い、災害時には、被災した学校のため現地入りし、早期学校再開、避難所運営、児童の心のケアのための支援活動を行っている。
次に、関係省庁として国土交通省より、「国土交通省の防災教育の取組」、「通学路の交通安全確保」について、防災教育のカリキュラムや画像の提供、ビッグデータを活用した交通安全対策など、学校現場で活用できる有益な情報が提供されました。
後半は、4つの自治体による実践発表が行われました。
○鳥取県「安全教育手法の開発・普及【防災に関すること】」
鳥取県及び鳥取市立佐治小学校において、鳥取県中部地震の経験や、それを踏まえた防災教育の取組、また、土砂災害を想定した避難訓練の実施など地域の実情に応じた取組を実施。
○岡山市「関係機関と連携した交通安全指導」
警察との連携を積極的に行い、市内の学校において自転車の安全な通行に関する教材を用いた学習の効果を検証し、以後の取組に生かし、児童生徒の交通安全意識の向上を目指す取組の実施。
○京都市「学校安全管理体制の構築・強化【登下校時を含めた日常的な学校の安全を確保する体制の整備】」
京都市立養徳小学校において、「養徳スタンダード」という安全教育カリキュラム、危機管理マニュアルを作成し、教職員が異動により入れ替わっても、安全教育の質が保たれるような体制の整備を実施。
○宮城県「学校安全管理体制の構築・強化について」
宮城県において、防災主任・安全担当主幹教諭を安全教育の中核として配置し、地域や関係機関との連携による、組織的な学校安全推進体制の構築を目指す取組の実施。大崎市立岩出山小学校において、学校・地域防災(安全)委員会を設置し、保護者や関係機関、近隣の学校等との連携による、持続可能な安全教育の推進に向けた取組の実施。
実践発表終了後、文部科学省より、「昨今の政策課題について」、第2次学校安全の推進に関する計画、学校事故対応、通学路の安全確保等のポイントについて行政説明を行いました。
次に、交通事故総合分析センターより、「子どもの歩行中の交通事故」として情報提供があり、7歳児の交通事故件数が突出していることなど、学校関係者の興味を引くデータが紹介されました。また、データを基にして家庭と連携した、交通安全教育の重要性が指摘されました。
その後、上記の政策課題について、各教育委員会における課題を共有し、解決策・対応策等について検討しました。