今月のニュース バックナンバー

令和2年6月号

職員だより

文部科学省 総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課

学校教育活動再開時の安全上の課題と自然災害への備えについて

  令和2年5月14日、39県の緊急事態宣言が解除となりました。地域によっては感染拡大の状況を踏まえながら、段階的に学校教育活動が再開されてきています。通常とは大きく異なる状況において、様々な安全上の課題が考えられます。

登下校に不慣れな小学校1年生への安全指導
分散登校の実施により児童生徒が一人で登下校する状況での安全確保
「密」を避けた集団登校の留意点
熱中症への対応(体が暑さに慣れていない状況やマスク着用時の配慮など)
インターネット等への接続の機会や時間の増加に伴う弊害への対応 など

  平常時のように年度初めの交通安全教室や安全指導が十分できていない状況での登下校となります。動画や教材等を活用した安全教育をはじめ、警察や自治体、地域のボランティアの方々と連携した児童生徒の安全の確保をお願いいたします。

  さて、新型コロナウイルス感染症への対応に追われている状況ですが、日本は地震や気象災害などの自然災害がいつ発生してもおかしくありません。近年、気象災害による大きな被害が発生しており、今後も気候変動による水害の発生、土砂災害等の頻発化、激甚化が懸念されています。これから本格的に大雨や台風災害の季節を迎えるにあたり、令和2年4月24日付けの事務連絡において、「避難の理解力向上キャンペーン」について、地域の実情に応じて可能な範囲・方法での実施をお願いしました。実施可能な場合には、感染症予防の視点も踏まえながら、避難場所の選択や避難所での留意点等をご指導いただければと思います。

  また、学校での災害発生時の対応について、感染症の予防も考慮した避難や待機等の在り方を検討しておく必要があります。そして、学校が指定避難所となっている場合には、自治体の防災担当部局等との情報共有をお願いします。避難所運営については、第一義的には自治体の防災担当部局の責任ですが、学校施設が避難所となる場合には、教職員が一定期間協力することが考えられます。感染症予防の観点から、避難所として使用する施設・設備の範囲、衛生に関する備蓄品などについて確認をお願いします。

  次に、災害発生時における自治体間の防災の支援活動について紹介します。兵庫県では、平成12年4月に、阪神・淡路大震災の教訓から「震災・学校支援チーム(EARTH)」を設置し、防災や避難運営に関する専門的知識と実践的な対応能力を備えた教職員を養成し、国内外の被災地での支援活動を行っています。この兵庫県の取組は、熊本県や宮城県、三重県など他の自治体にも広がってきています。実際に学校支援チームを受け入れた学校では、混乱した状況において、知識と実践力を身に付けた教職員による避難所運営、心のケア、学校再開に向けた助言や支援は、とても有難いものであったと感謝していました。その一方で、支援を受ける側がこういった学校支援チームについての理解が不十分だったために、支援活動がスムーズにいかなかった例もあったようです。4つの県から提供いただいた学校支援チームの情報を別添のとおりまとめました。多くの方々に自治体間の学校支援のしくみや内容について知っていただくとともに、各自治体の今後の施策等の参考にしていただければと思います。

チームによる自治体間の防災支援の枠組み(県外支援)