今月のニュース バックナンバー

令和元年12月号

職員だより

文部科学省 総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課

令和元年度「全国保健・安全研究大会」レポート

  11月21日(木)、22日(金)の2日間、埼玉県さいたま市大宮ソニックシティを会場に、全国の学校保健・学校の安全の関係者約1200名が参加し、「生涯を通じて、心豊かにたくましく生きる力を育む健康教育の推進~主体的に健康課題の解決に取り組み未来を拓く子供の育成~」を主題に掲げ、「全国学校保健・安全研究大会」が開催されました。

<文部科学大臣表彰受賞伝達式の様子>

  21日には、学校保健及び学校安全の普及と向上に尽力し多大な成果をあげた個人、学校及び団体に対する、文部科学大臣表彰の表彰式が行われました。学校安全分野においては、個人部門の2名と学校部門の15校が学校安全表彰を受賞し、20団体が学校安全ボランティア奨励賞を受賞しました。
  受賞者については、下記リンクから御確認ください。

  その後、埼玉大学教育学部 戸部秀之教授より、「子供のインターネット利用と健康」と題した記念講演が行われ、インターネット依存度のセルフチェックシートを用いた授業実践例等を紹介していただきました。
  22日は、各10分科会に分かれて、課題別研究協議会を行いました。
  学校安全については、以下の研究協議会が実施されました。(学校安全領域は、8~10課題となります。)

第8課題 「学校事故防止対策」

研究発表者
日本スポーツ振興センター学校安全部 安全支援課長 田中 文人
宮崎県川南町教育委員会 教育対策監 肝付 正籍
岩手県文化スポーツ部スポーツ振興課 主査スポーツ振興専門員 小野寺 丈晴
講師
学校安全教育研究所代表 明海大学客員教授 戸田 芳雄
指導助言者
全国学校安全教育研究会会長 木間 東平 (東京都葛飾区立柴又小学校校長)

第9課題 「教科等における安全教育」

研究発表者
静岡県立松崎高等学校 教諭 植松 聖陽
熊本県立八代工業高等学校 校長 江藤 義英
埼玉県さいたま市立慈恩寺小学校 教諭 松島 大樹
講師
東北工業大学 教授 小川 和久
指導助言者 宮城県教育庁スポーツ健康課 課長補佐 村岡 太
指導助言者
宮城県教育庁スポーツ健康課 課長補佐 村岡 太

第10課題 「関係機関等との連携による安全の体制整備」

研究発表者
大阪府立中央聴覚支援学校 校長 北口 直樹
埼玉県秩父市立南小学校 主幹教諭 飯島 克行
長野県辰野町立辰野中学校 教諭 堀川 隆義
講師
高知県教育委員会事務局学校安全対策課 企画監 吉門 直子
指導助言者
秋田県教育庁保健体育課 副主幹 安田 知明
<課題別研究協議会の様子>

  各分科会では、安全教育、安全管理、組織活動について、様々な視点からの発表がなされ、その発表に対する熱のこもった協議・検討が行われていました。
  第9課題で研究発表をされた静岡県立松崎高等学校の植松先生とさいたま市立慈恩寺小学校の松島先生は共に初任校での実践を発表いただきました。学校安全を担う若い先生方からたくさんの刺激をいただくとともに、今後の活躍に大きな期待を寄せたいと思いました。
  本研究大会は、全国の学校保健・学校安全の関係者が広く参加できる会となっています。次年度は、令和2年11月12日(木)、13日(金)に富山県富山市で開催される予定です。学校保健・学校安全の取組を推進するため、ぜひ多くの方の御参加をお待ちしています。


大学教育における学校安全の学びの充実に向けて

  本年度の入学生から、教職課程において「学校安全への対応」の学修が必修化されました。大学教育において、学校安全の学びの充実が求められています。そのような中、11月に東日本大震災の被災地にある岩手大学と宮城教育大学において、学校安全に関するシンポジウムが開催されましたので紹介します。

  11月2日(土)、岩手大学において、「教師教育における学校安全の充実―東日本大震災の教訓を生かした防災教育を中心に―」というテーマでシンポジウムが開催されました。基調講演「学校安全学の体系」では、「学校安全」を学問として体系化していくための考え方(試案)についての説明がありました。
  また、学生から授業(フィールドワークを含む)で学んだ、沿岸被災地での防災教育の取組や、防災教育を推進するために教師として必要なこと等について発表が行われました。さらに、シンポジウムでは、教育委員会、遺族、学校教員、大学教員、文部科学省職員、それぞれの立場から発災時の対応や、震災後から現在までの復興教育や防災教育の取組等の発表があり、これからの安全教育において何が必要なのかについて話し合いが行われました。会場からは、教員を目指す高校から、防災意識の低い地域ではどのような取組をおこなっていけばよいのか、カリキュラム・マネジメントの考え方についての質問もありました。教員を目指す高校生が学校安全に高い関心を持っていることは、頼もしい限りです。

  11月10日(日)、仙台国際センターで開催された「世界防災フォーラム/防災ダボス会議@仙台2019」において、宮城教育大学が「いのちを守る教員を支える教員の防災キャパシティ・ディベロップメント」と題する国際シンポジウムを開催しました。本シンポジウムは、本年4月に宮城教育大学に設置された学校防災の人材育成拠点「防災教育研修機構<311いのちを守る教育研修機構>」の発足記念として開かれました。
  シンポジウムでは、特別講演として、トルコ共和国国民教育省大臣補佐官(防災教育研修担当)トゥバ・ギョクメノール・カラカヤ氏と文部科学省から教員に研修に関する報告が行われました。トゥバ氏からは、トルコにおいて防災教育を推進するため、教員研修に必要なカリキュラムづくり、e-ラーニングを取り入れた教員研修の開発、各地域での指導者クラスの養成と活用などの報告が行われました。討議では、我が国の教員に対する防災リテラシー向上の研修をどう体系化していくかという課題について、会場からの意見も交え、話し合いが行われました。さらに、防災教育研修機構の取組として、学生や現職教員の被災地での研修の様子や新機構の今後の取組等の説明も行われました。

  2つの大学でのシンポジウムに参加して、震災の教訓を踏まえて教員に必要な資質・能力は何か、その資質・能力を身に付けるために何をどのように学ぶのか、そのための大学の役割は何かについて改めて考える機会となりました。大学教育での学校安全の学びがより一層充実することを期待しております。

<宮城教育大学:国際フォーラム「いのちを守る教育を支える教員の防災キャパシティ・ディベロップメント」>