今月のニュース バックナンバー

令和元年5月号

職員だより

文部科学省 総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課

5月の学校安全の取組について

 新年度がスタートして、およそ1か月が経ちました。朝、スクールガードの方々が見守る中、子供たちが友達と楽しそうに登校している姿をみかけます。子供たちが元気に家を出て、学校から無事帰宅する。この当たり前の日常が、自然災害や様々な事件・事故災害に遭遇すると、いかに大切かを思い知らされます。そして、学校が児童生徒等の尊い命を預かっているということを痛感します。

 さて、各学校では、「学校安全計画」に基づいて、安全教育や安全点検、職員研修等に取り組んでいることと思います。各学校での5月の学校安全の計画はどのようになっているでしょうか。

 警察庁交通局の資料によると、平成26年から平成30年に発生した歩行中の児童の交通事故の特徴として、小学校1年生の歩行中死者・重症者数は6年生の約3.6倍であること。1年生の第一のピークは5月中・下旬(下校中及び私用)で、歩行中の死者・重傷者の約4割は飛び出しが原因であることなどがあげられています1)。また、平成25年から平成29年に発生した中学生・高校生の交通事故の特徴として、中学生・高校生は、自転車乗車中の交通事故が多く、その死傷者は、小学校6年生から中学校1年生で倍増し、高校1年生が最多であること。中学生・高校生の自転車乗車中の交通事故は、登校中・下校中、出会い頭事故が多く、出会い頭のうち交差点での衝突や安全不確認を原因とする事故が多いことなどがあげられています2)。このようなデータも踏まえながら、各学校での通学路の安全点検や交通安全教育が適切に行われているかどうかを確認することが重要です。さらに、4月の児童生徒等の通学の様子や、児童生徒等から得られたヒヤリハットの情報を基に、自校の交通安全の取組が適切に行われているかどうかをチェックし、不足している事項があれば、通学路の安全点検や交通安全の指導を補うことも大切です。

 「学校安全計画」における5月の職員研修については、「熱中症予防に関する研修」を計画している学校も多いことと思います。日本スポーツ振興センターの調べによると、昨年度の学校の管理下における熱中症の発生件数は、一昨年度に比べおよそ2000件増加しています(下の表参照)。そして、昨年の7月には、愛知県の小学生が校外学習後に熱中症により死亡するという痛ましい事故も起きています。熱中症予防への対応については、常日頃から各学校の実情に応じてしっかり取り組んでいることが重要です。
 熱中症予防については、「学校の危機管理マニュアル作成の手引き」(平成30年2月文部科学省)のほか、「熱中症を予防しようー知って防ごう熱中症ー」(平成26年3月独立行政法人 日本スポーツ振興センター)及び「教材カード」(独立行政法人 日本スポーツ振興センター)、「学校における体育活動中の事故防止のための映像資料」(平成26年3月文部科学省)、「体育活動における熱中症予防」「調査研究報告書」「熱中症環境保健マニュアル」(平成30年3月改訂環境省)等の参考資料があります。本ポータルサイトでも熱中症に関わる資料を掲載しています。熱中症予防の職員研修では、これらの資料を活用し教職員が事前の対策や事故発生時の対応を適切に行うことができるよう、全職員で共通理解しておくことが大切です。その際、児童生徒等が実際に不調を感じた際にはその旨を申告することや、他の児童生徒等の不調に気付いた場合にはすぐに教職員に伝えるようにすることなど、児童生徒等自身が熱中症について理解しておくことも重要です。

 児童生徒等が学校で生き生きと活動し、安全に学べるようにするためには、児童生徒等の安全が確保されることが不可欠です。そのためには、日々の学校安全に関わる活動の中で、適宜チェックし見直しながら行っていくことが重要です。「学校安全計画」の5月の予定を全教職員で取り組むととともに、不足している点があれば、点検や指導を補いながら学校安全の充実を図っていきたいものです。

注釈

1)
詳細は、平成31年4月12日付け事務連絡「児童生徒等の通学時の安全確保について」の別添「歩行中児童の交通事故の特徴等について」(平成31年3月28日警察庁交通局)を参照。
2)
詳細は、平成30年4月23日付け事務連絡「児童生徒等の通学時の安全確保について」の別添「児童生徒の交通事故」(平成30年3月22日警察庁交通局)を参照。

学校の管理下における熱中症の発生状況

  平成28年度 平成29年度 平成30年度
幼稚園 15 7 17
小学校 451 408 579
中学校 1,992 2,038 2,912
高等学校 2,216 2,467 3,554
高等専門学校 20 20 20
4,694 4,940 7,082

(独立行政法人日本スポーツ振興センター調べ)

※上記は、学校の管理下における熱中症に対して医療費を支給した件数である(平成30年度は速報値)